カジノはそんなに怖くないッ!

等身大ローローラーの寝言集

ラスベガスの基本情報(7)ハイローラー・イカサマ

カジノにちょこっと興味のあるみなさん、こんにちは。 今回のラスベガスの基礎知識で取り上げるのは、カジノで遊んでいてもあまりご縁のない世界のお話、ハイローラーとイカサマについてです。

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大金持ちのハイローラー

世の中にはとんでもない大金持ちがいるもので、1ドルが1円程度にしか感じられない、いやいや100万円が10円程度、一晩に1億円勝っても負けても大事とは感じない人が確かにいます。ささやかな幸せを感じられないそのような人が幸せかどうかは分かりませんが、誰でも一度くらいはそういう人になってみたいと夢見るものです。

ともあれ、このような大金持ちはハイローラーと呼ばれ、カジノからは一般庶民とは区別された特別待遇を受けます。賭金が大きければたまにはそれだけ大きく勝つこともあるでしょうが、既に述べたように、長くやっていれば理論的なカジノの控除率(ハウスエッジ)に従って、確実に大きな利益がカジノにもたらされることになるので、こうした特別待遇は当然のことです。

カジノ側は、ハイローラーがカジノにもたらす利益の一部をハイローラーに還元するという名の下に、ホテルの滞在費をタダにすることに始まって、専用のリムジンで空港から送り迎えをすることはもちろん、ファーストクラスの往復航空券をプレゼントすることまで様々なサービスを提供するわけです。一般客に対するコンプも意味するところは同じなのですが、余りのスケールの違いに思わず溜息が出ます。

ハイローラーにはハイローラー専用の特別エリアが用意されています。一般庶民がプレイするカジノはどこも騒々しいものですが、ハイローラーエリアはいつでも静かな雰囲気に包まれています。一般庶民がそこに足を踏み入れるとつまみ出されてしまうというわけではありませんが、ミニマムベッド5000ドルのルーレットのテーブルに着いてプレイする勇気は誰も持ち合わせていないでしょう。

カジノとイカサマ

かつてラスベガスはマフィアの支配する街でしたが、現在ではアメリカ国内でも最も安全だと評価される街になりました。カジノから継続的に安定した収益を上げるためには、何よりも安全が確保されていなければならず、そのためにはカジノの収益を適正に管理し、その相当部分を安全のために費やす必要があります。ラスベガスの歴史は、カジノの収益を安定して上げるための努力の歴史と言えるでしょう。

カジノで不正行為が行なわれているか否かは、古くから議論されている問題です。カジノで不正行為が行なわれているとすれば、客足が遠のくことは必至であり、カジノにとっては死活問題になります。そこで、カジノは不正防止に注力し、カジノが適正に運営されていることをアピールしています。

カジノで行なわれる不正行為として考えられるものには、大別して三種類あります。第一に、カジノによる収益のごまかし、すなわち脱税です。これは国や地方自治体にとっては大問題ですが、ラスベガスを訪れる観光客にとっては関係のない問題です。カジノによる脱税が全くないとは言い切れませんが、カジノの収支は厳しく監視されており、脱税を行なったカジノは営業停止になることは間違いないので、そんな危険を冒してまで敢えて脱税をすることはないだろうというのが一般的な見方です。

第二に、カジノが客に対して行なう不正行為です。これには二種類あって、一つはカジノが組織的に行なうイカサマ行為、もう一つは、ディーラーが馴染みの客や家族、友人のために行なう不正行為です。今時サイコロに細工をして特定の目が出易いようにするといった原始的なイカサマはないでしょうが、カードゲームで手品を使うようなイカサマは考えられなくもありません。実際、ブラック・ジャックのディーラーのカード捌きは惚れ惚れするように鮮やかです。しかし、カジノはそんなイカサマをしなくても、十分利益を上げられるように出来ているので、不正が発覚した場合のリスクを考えれば、敢えてカジノが組織的な不正行為を行なう必然性はないだろうと言われています。

これに対して、ディーラーが客と組んで、あるいは客のために不正行為を行なうことは十分あり得ることです。意図的に多く配当したり、次のカードの数を合図して教えると言った手口が考えられます。このような不正行為を防止するため、カジノの天井には多数の監視カメラが埋め込まれており、ディーラーや客の動きを録画しています。このカメラのことをスカイ・アイといいます。その他にも、ピット・ボスと呼ばれる監視員が巡回しています。この種の不正行為が発覚した場合、客はそのカジノから締め出されるだけですが、ディーラーは職を失うことになるので、そう滅多なことでは危ない橋を渡る者はいないでしょう。

第三に、客が監視の目を盗んで行なうイカサマ行為です。カジノで不正行為が行なわれているとすれば、この種のものの可能性が最も高いでしょう。実際に不正行為の現場を見たことはありませんが、聞くところによるとどうやらイカサマをやるのは中国人が多いようで(捕まえられて連行されていくところは目撃しています)、アメリカ人のディーラーは中国人と日本人の見分けがつかず、比較的大きな金額を賭けてプレイしていると、中国人と間違われて警戒されてしまうこともあるかもしれません。しかし、まあ堂々としていれば大丈夫です。イカサマをするにも相当場慣れしていることが必要ですが、同時に面がわれていないことも必要です。この二つの相反する条件を満たすのはそう簡単ではないでしょう。いずれにしても、客のイカサマ行為は立派な犯罪ですから、運試しに一つやってみようなどとは決して思わないで下さい。

ディーラーはルーレットで狙った数字に玉を落とせるって本当?

カジノで行なわれる不正行為との関連で最も頻繁に取り上げられるのは、ルーレットのディーラーは狙った数字に玉を落とせるかという問題です。

相当な速度で回転している回転盤に相当な速度で玉を投入するのを見ていると、そんなことはとても不可能だろうと思えます。その一方で、毎日毎日同じことを繰り返しているのだから、百発百中とまでは行かないものの、ある程度は狙ったところに玉を落とせるディーラーがいてもおかしくないという気もします。特に、自分が賭けた数字が20回以上外れ続けていると、少なくともある数字を外して玉を落とすことは出来るのだろうと思えてきます。

この問題は、これからも盛んに議論されていくことでしょうが、ラスベガスではあまり議論の実益はありません。ソウルやマカオのカジノと違って、ラスベガスではディーラーが玉を投入した後でも、No more bet ! の声がかかるまでは賭けることが出来るので、ディーラーが自分の賭けた数字を意図的に外そうとしていると感じたならば、ディーラーが玉を投入するまでは賭けないで、玉を投入してから賭けるようにすれば良いのです。ディーラーとしても、狙ったところに玉を落とす技術を身につけたところで、不正行為を疑われるのが関の山で、何のメリットもありませんから、わざわざ自分から、俺は狙ったところに玉を落とせるぞ、と自慢することはないでしょう。

ディーラーへのチップ制度もイカサマ防止が背景

ところで、カジノで勝った時、ディーラーにチップをあげますが、このチップは、カクテルウェイトレスやドアマンに渡したチップが彼等個人の収入になるのと違って、受け取ったディーラー個人の収入になるわけではありません。ディーラーが受け取ったチップは1週間くらいの単位でプールされて、一定の比率で各ディーラーに配分されるのです。

このようなシステムにしたのは、まず個々のディーラーが受け取ったチップを自分の収入にすると言うシステムは不正行為の温床になるので、これを防止することに主眼があります。誰でも多くのチップをはずんでくれる客のために便宜を図ってあげようと考えますからね。それとともに、曜日や時間帯によってもらえるチップの額にばらつきがあるので、多様な勤務表に従って働いている多くのディーラー間の公平を図ることを第二の目的にしているのです。

なお、ディーラーもウェイトレスやドアマンと同様、チップ込みで給料の額が設定されていると聞きます。大きく勝ったときやディーラーが楽しませてくれたときは、チップを弾んで喜びを分かち合いましょう。

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